体験学習の現場では、学びを提供しに行っているはずが、こちら側が、逆に学んでいることが多くあります。

以前コンプライアンスのブログで紹介した現場でのこと。
ある参加者の方が “振り返り”で発した言葉が妙に心に残っています。
自分はここには必要ないと思ったので、誰もやっていなかった他の役割に移ることにした。
でも 自分で決めた役割を果たしきれなかった。
上のブログで取り上げた
「言葉を発することを禁止して、チーム全員が順番にある場所を方法を見つけながら通り抜けるする迷路」には、全員が協力して1つのことを記憶し、その記憶をもとにゴールを目指すという 続きがあります。
このチームは、人数が多かったので、覚える部分いくつかに区切って、それぞれの部分を2~3人で分担して、全体に伝えるという作戦を立てていました。
しかし、これ得手,不得手が非常に強く分かれるんです。元々記憶が得意な人、言葉を使わないで物事を伝えるのが得意な人。逆にそうでない人。
いくつか出来たグループのうち、このアクティビティが得意な人 と 得意でもなく苦手でもないぐらいの人 のペアーができました。
2回の失敗の後、アクティビティーがスタートして、しゃべれなくなった後から、得意でもなく苦手でもないぐらいの人が 突然、全員で合意した作戦にはない位置へ移動してしまいました。 ・・・パートナーはアクティビティに夢中で、いなくなったことに気づいていませんでしたが、周りのみんなはすこし???だったかもしれません。
アクティビティ後の 振り返り の時、自分の取った行動について説明をしてくれました。
ペアーの人が 記憶するのも 伝えるのも 上手いので私がいる意味があまりなかった。
2回目の失敗の後、なんとなく気づいてはいたのだが、3回目のトライアルに入って、はっきりと分かったので、2人ずつ覚えるという作戦はあったのだが、自分の判断で今の役割を捨てて、全体が見える位置に移動して、俯瞰してみるようにしていた。
でも、
最後ゴール間近になって、最初に全員で「慌てそうになったら、気づいた人が全員が声を上げる(手を叩く)」と確認したことを忘れていたのに、みんなで浮き足立っていたときに、自分で決めた役割を忘れて自分も慌てていた。 自分が役割を果たしていたら、全員が通り抜けていないことに気づけていたかもしれない。
確かに、役割を果たしきれなかったのかもしれない、でも自分から役割を探していく姿勢は、誰でもできることではないですよね。 まして、誰かに相談することも判断を仰ぐことも出来ない状況で、「臨機応変」な行動をどれだけの人ができるだろうか。
体験を共有してもらったことで、他の参加者の方にも、間接的な体験を通じて、柔軟な役割分担をする事について、学びを得たでしょうし、さらに、おそらく本人にとっては、現実の世界で、次に同じような場面に出くわしたら、臨機応変な行動をとれるだけでなく、その先の役割を果たすポイントも気づけたのではないでしょうか。
たかが体験学習されど体験学習
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