台湾交流プログラムの事前研修のコーディネーション

財団小山台が主催する台湾交換派遣の事前研修の企画に奮闘しています。

財団小山台の台湾交換派遣は毎年3月に約1週間、台湾雲林県斗六市にある環球科技大学の学生との交流を軸にしたプログラムです。

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  • 交流:学生と一緒に斗六の街を散策や現地学生の家の訪問
  • 見学:日本統治時代に台湾の農業改革に奔走した土木技師である八田與一が築き上げた烏山頭ダムの見学
  • 講義:環球科技大学の創設者 許文志先生から講義

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などをしています。

 

環球科技大学は、環球技術学院という日本で言う専門学校のような学校が発祥なので、私達が派遣生だった時には 美容学科の先生にモデルウォーキングを習う授業やバイオ技術の学科で液体養分で植物を育てる実習をしていたました。

しかし私が派遣から離れていた10年間で遊びっぽくて「大学生らしくない」とのことで10年をかけて「大学生らしい」プログラムになっていました。

[voice icon=”https://learningthroughdoing.jp/wp-content/uploads/d449a48ced4cbb54afcf394ed71a89fa.jpeg” name=”心の声” type=”r”]個人的には、”海外の同年代の人と一緒に楽しむ”でもなく”個人ではできない体験”でもなくエッジが効いてなくて本当にそれで心が動く経験になるのか?という疑問はありますので、ちょっとずつ改善中。[/voice]

そして、1週間の台湾派遣の前には、4回~5回の事前研修があります。

研修は大きく4つ。

 

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  1. 現地理解
  2. 目的設定
  3. 現地活動の準備
  4. 中国語講座

加えて、開講式や結団式などの式典と事務連絡の時間があります。

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1.現地理解

台湾の歴史、政治、文化を講義形式で学ぶことで、現地についての関心を高め教養を身に着けます。

一口に”教養”と言っても幅広いので、現地の人と会話をしていて恥ずかしくない程度。広く浅く。台湾の歴史で言えば、日本統治時代だけを深く知っているよりは歴史全体を知っている方がいい。

例えば・・・

台湾の歴史(概略)

▼日本統治時代前(原住民族時代・オランダ統治時代・鄭氏政権時代・清朝時代)
幾つもの部落に分かれ独自の言語/文化が発達した原住民族の時代
15世紀~16世紀の大航海時代には台湾にもヨーロッパから船舶が来航した。上陸したポルトガル人が「Ilha Formosa(麗しの島)」と叫んだと言い伝えられている。要塞の建設など島の開発をはじめていたスペイン人を追い出しオランダの東インド会社が統治をはじめたオランダ統治時代
オランダを一掃し新たな台湾統治をはじめた鄭成功の鄭氏政権時代。鄭成功は福建省人の父親と日本人の母親の間に生まれた子。近松門左衛門によって人形浄瑠璃になった国姓爺合戦としても有名。現代の台湾でも鄭成功は開発始祖として祀られています。
1683年の澎湖海戦で実質3代続いた鄭氏政権を倒した清王朝が福建省に台湾を編入した。しかし清王朝は長らく台湾を中華文明・皇帝支配に属さない化外の地として積極的な支配はしなかった。
欧州列強国がアジアへも勢力を拡大してきた19世紀。1858年アロー戦争で英仏が清朝に勝利して天津条約で台南の安平港(アンピン)と台湾北部の基隆港(キールン)が開港や、1871年の宮古島からの漂流民54名を台湾原住民が殺害した琉球漁民殺害事件に端を発した牡丹社事件では1974年の日本の台湾出兵を受けて、清王朝はようやく台湾の積極統治をはじめた。
 
▼日本統治時代
1894年の日清戦争で敗れた清から下関条約(馬關條約)で台湾を日本が割譲統治をはじめてからの日本統治時代。当初は漢民族や台湾原住民が日本統治に抵抗し台湾民主国を建国し乙末戦争へと発展した。しかし日本の進軍により台湾民主国は程なく崩壊し台湾総督府を中心とした統治体制が確立した。烏山頭ダムはこの時代に水不足と塩害対策をし農業改革のために八田與一が建設した。
 
▼日本統治後(中華民国:国民党独裁時代、民主化時代)
第二次世界大戦で日本敗戦後の台湾は、カイロ宣言にもとづき蒋介石率いる中国国民党が行政機能を日本から引き継いだ中華民国時代。戦後に台湾に移り住んできた外省人が行政の要職を独占し、腐敗は横行し、元々台湾に住んでいた本省人への圧政を強いた。1947年の台北で起きた二・二八事件は本省人の国民党政権への抗議運動であり、以後さらにエリート層・知識人への弾圧が強まる。中国大陸で中国共産党との戦いに破れた中国国民党は台北を臨時首都として台湾を支配するようになる。台湾が現在のように民主化をされるのは1992年の刑法改正で言論の自由を認め、1996年に選挙によって李登輝が総統に選出された以降である。

 

2.目的設定

主催者は広い視野を持ち・多様な価値観を受け入れ・互いに理解し合うことができるグローバル人材を育成することが目的としています。この目的にあうように「オランダの先進的な教育システムの視察」「フィリピンの孤児院でボランティア」など既にテーマの決まっているスタディーツアーではなく、様々な”交流””体験””視察”という機会を提供するプログラムとしています。

一方で、個人がそれぞれ目的意識を持って参加していないとただの観光旅行になってしまいます。そのため財団小山台の派遣プログラムでは、ブレインストーミングと付箋ワークで関連性を整理するいわゆるKJ法をグループワークを用いて目的意識の醸成しています。

 

3.現地活動の準備

台北市内のグループ別自由行動の訪問地を決めルートを話合うことや派遣団として交流相手へのお礼やパーティーでの出し物などの準備する時間です。団としての結束力を高めることやプロジェクトの推進力を学ぶキッカケになって欲しいと思っています。

 

4.中国語講座

交流自体は 英語・日本語(相手は日本語学科の学生が多いので)・漢字を織り交ぜながら意思疎通を図っています。全く現地の言葉を知らないで行くよりは、単語でもフレーズでも身につけ交流相手の前で使うことで交流の手助けになります。日本でも道を案内してあげて外国人旅行者から「ありがとう」と(カタコトでも)言われるとうれしいですよね。 相手の言葉を使うって相手の文化を知る努力をしていることが伝わる方法です。

しかし4回の事前研修で中国語で意思疎通ができるようになるのは期待していないですし、語学を学ぶのは出来る限り少人数レッスンがベター。2時間✕2回の講座で中国語で挨拶と自己紹介ができるようになることがゴールです。

それ以上やりたい人は、skypeを使って格安で外国人と会話の練習ができるレアジョブ英会話の中国語版 SpeakMandari などを使って自主練をしてください!!

 

軸は決まっていてもこの数年、毎年試行錯誤を繰り返しています。昨年は、「台湾を愛した日本人(改訂版) -土木技師 八田與一の生涯-」の著者 古川勝三先生をお招きして講義をお願いしました。今年はどんな研修にしようか・誰に・どんな研修をお願いするか?コーディネーションを楽しんでます。

 

古川先生の著書

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