高校生の派遣海外プログラムの事前研修では、実践型のコミュニケーショントレーニングとして、東京の観光地である浅草周辺で外国人観光客にインタビュー活動をしています。3年前に初めて実施して、少しずつ改善を重ねて一つの形が出来てきました。
プログラムの目的
英語が全く話せない学生より、そこそこできる真面目な学生の方が現地で縮こまっていることが多いんです。正しく話さないと伝わらないと誤解していたり、間違った英語を話すことを恥ずかしがったり。
大前提として1日の活動で英語が話せるようになることはありません。文法的には正しい Where are you from.でなくとも、 you where from. でも目の前の人とのコミュニケーションでは伝わることを理解してほしい。
そして、今の自分に足りないことを見つけて学ぶキッカケにすることをねらっています。
実施時期・会場とレディネス
5月に募集。海外に出発するのは7月最終週~8月上旬。全6回の事前研修の4回目での実施です。
第2回目研修は、海外派遣に向けた動機づけとして目標設定をしました。第3回目は、学校の授業とは異なるスピーキング実践です。留学生を相手に教室内で道案内や料理の作り方説明などど英語を使う訓練をしました。
応募の時点で「英語を話したい」「海外に出てみたい。」という希望のある生徒です。加えて2回目で現地で具体的に何を実現したくて海外に行くのかを考え、3回目の研修で安心できる環境でチャレンジして、4回目はちょっと自信が持てている状況での実践型トレーニングです。
進行
時間 | 内容 |
10:00 |
◆導入 |
10:15 | ![]() 🔍浅草を知る活動:浅草スカベンジャー・ハント 【ねらい】 ルール説明と役割ぎめ チームごとにお題の場所を探しに出発します。知識として知らないことを自分たちだけで考えていて答えにはたどり着けません。街の看板や色んな人に積極的に尋ねることでヒントが得られます。 11:35 会場再集合 11:45 答え合わせと活動振り返り Question1だと、場所を特定する → 近くの看板で建物の名称と作法を知る という二つのステップがあります。 Question2は、浅草寺に参拝をしたことがある人なら通っているであろう門にあるですが、よく観察していないと通り過ぎてしまう場所です。 観光・街歩きをする時の町の見方を知ることをねらって課題に入れました。 |
12:10 | 🎤インタビュー活動の導入 【ねらい】 【活動の内容】 【注意事項】 12:30 昼食&インタビュー活動開始 15:00 会場再集合 |
15:20 |
✎振り返り 【ねらい】 【内容】 ②導入の質問:何組ぐらいにインタビューを出来たか?挙手制で確認。 ③第1ラウンド(10分) ④第2ラウンド(15分) ⑤第3ラウンド ⑥テーブルでどんな話があったか?を全体共有⑦第4ラウンド |
16:20 |
◆クロージング 主催者講評とまとめ 事務連絡 |
17:00 | 終了 |
過去議論になったこと
いきなり形が出来たというよりは、3年間かけて少しずつ議論を積み重ねて形を作りました。
エリアとエリア制限をどうするか?
浅草で活動する場合、特に気をつけるべきことが私有地には入らないこと。浅草寺と仲見世商店街は、参拝と観光以外のことをしていると警備員が巡回しており怒られます。参加者の意識にはないことなので特に注意しておくべきでしょう。もちろん駅構内なども同様です。
当初は大人が目の届く範囲で、雷門の前の通りと吾妻橋、川沿いだけをエリアにしていました。しかし、10m手前であるグループが断られた人に別のグループが声をかけていたり、協力してくれた人が「さっきも同じように声をかけられたよ」と言われたり、エリアが密集していることで起こる不具合が多くありました。またそれまでの活動において大きなトラブルがなかったこともあり、徒歩30分圏内を目安(時間までに戻ってくる)に自由に動きながらインタビューをする形式に変えました。
服装
1年目は私服、2年目は自由、3年目は制服着用と変わってきました。
制服でいると高校生だと分かりトラブルに巻き込まれるのではないかと心配する声があり、初年度は私服で来ることを必須にしました。
2年目に諸般の事情で制服できたグループを観察していて”制服の方がインタビューを受ける外国人に安心感を与えている”ことが分かり、3年目からは制服着用で実施することにしました。
浅草を知る活動:スカベンジャー・ハント
2年目の振り返りで学生たちから「インタビューに答えてもらったのに、相手から質問された浅草のことを聞かれたのに答えられなかった」との声が多数。”日本のことをあまり知らない”という反省から、雷門・駅・トイレ・おすすめの場所ぐらいの位置関係は分かるようにしておいた方がいいということになり、今年から取り入れました。
当初は、誰かスタッフがガイドになって皆を連れて歩かせることを想定していました。しかし興味がある場所が異なるのに、皆でぞろぞろ歩くよりは、主体的に行動してほしいという希望があり、スカベンジャー・ハントを実施しました。
まとめ
少しずつ変化をさせて3年目。
英語力を付けるのであればレアジョブやDMM.英会話のようなSKYPE英会話に毎日取り組む方がよい。たった1日で英語ができるようにはならないけれど、知らない外国人に話しかけることはちょっと勇気がいることだけど、やってみるとできるでしょ。ということが分かってくれるだけで十分だと思っています。
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