私お手伝いしている国際交流プログラムでは、海外派遣に参加する20人の高校生の成長をサポートするリーダーを大学生にお願いしています。
現地にはツアーコンダクター1人だけ、主催者側はリーダーが責任者です。)
ただの先輩ではなく、財団の責任者として派遣をしています。
今日は合宿研修でリーダーの行動を振り返って、少し厳し目のフィードバックをしました。

- なんでリーダーが忘れ物をしているの?
リーダーがスタッフの集合時間に遅れてくるってどういうこと? - 20才も30才も年上の先輩が机を運んでいて、なんでリーダーが座っていたの?
- 講師が団員全体に向けて話したことを聞いてないってどいうこと?
- 高校生の手本になってほしいのに、リーダー自身が話を聞く姿勢が悪い! などなど
つまり「率先垂範ができてないよ。」ということです。
リーダーは何を率先垂範したらいいのか?=仕事の定義
そのことに対して、リーダーから「仕事の内容を定義してほしい」「後から言うのではなく、事前に伝えてほしい」と要望がでました。
確かに、海外だとJob Descriptionがあって、あなたの仕事の範囲は〇〇と〇〇と〇〇と・・・と列挙して契約を結ぶことが多いようです。
もちろんその不満も分かります。管理職が部下に仕事を任せるときに、何も言われずに依頼した管理職の理想通りの結果を持ってくる部下も稀なように、大人の期待値と学生の基準はずれていることが当たり前です。
一方で、ここでは、大人の期待する行動と成果として現れている学生の行動にギャップがあるということをフィードバックで気づいてほしいと考えています。
フィードバックしたときはそこまで深くは考えずに無意識ですけどね。
なんと言っても、派遣のリーダーは、主催者を代表して団を率いていくので、学生基準ではなく主催者の大人基準に行動を高める必要があります。
という視点でこのリーダーの不満って、
「自分たちにできる形にして仕事を割り振ってください。」ということですよね。
講師が〇〇と行ったら✕✕を配る。
△時になったら、団員に声をかけて、■■につれてくる。
と、全てを書き出してあげれば、リーダーの不満はたまらないのかもしれません。
リーダーに求めている率先垂範
割り振られた仕事を言われたとおり実行することはリーダーに求めていることではないと考えています。
リーダーに求めているのは、タスクとして列挙できるレベルのことで手を動かす人ではなく、もっと抽象度の高い事柄を周りの関係者とコミュニケーションを取りながら調整し、そのことを推進するために主体的な周囲への働きかけする役割です。
つまり、自分や他人の仕事を定義して、範囲を定めることが、リーダー自身がするべき役割の一つ。(だって、派遣地では誰も指示をしてくれる人はいないから)
若手社会人でも難しいことだと思いますけれど。
リーダーの育て方。 レディネスReadinessを高める。
言われたタスクをこなすのであれば、具体的にその場・この派遣でしか使えない技術力を高めるが中心になってしまいます。
将来、派遣の添乗員に育てることが目的であれば、まずは自分で出来るタスクを積み上げる成長の仕方でもいいかもしれません。
しかし、私がしているのは、派遣のリーダーとして現地に送り出すことでもあり、社会のどこでも通用するスキルや考え方を身につけるように、学生リーダーを育てることです。
派遣を終えたときには、最低でも、新入社員研修を終えた後の新卒社会人レベルに達していることを(勝手に)ゴールにしています。
つまり、派遣リーダーをすること自体が、リーダーシップを育成するプログラムに参加しているもの。
なので本人たちが「できる」と思える形にしてあげてはあまり意味がない。
育成だから、学生リーダーのレディネスを考えて「今のままだったらギリギリできないよね。」というラインで課題提示をしている。
抽象度の高い事柄を周りの関係者とコミュニケーションを取りながら調整し、そのことを推進するために主体的な周囲への働きかけをできるようになるためには、まずは、学生リーダー自身が、自分の頭で考えて、考えて、考えること。
だから、リーダーには、「今のままだったらギリギリ分からないよね。」というレベルで、ぼや~と伝えるので、
何したらいいの?明確に指示を出してよ(怒)
私には明確に指示をしないと団員は動かないというのに、自分は指示があやふや・・・。
めんどくさいから自分でやってくれればいいのに。と思われているかもしれません。
(むしろ本当に自分でやった方がはやい・・・。と思ってしまう。)
主体的に考えて行動する。
今回その不満を私にフィードバックしてもらった後で、リーダーへの再度のフィードバックをしました。
と返答しました。

「これと、これと、これを、こうして」と仕事を定義してあげた時点で、それだけをやればいいと思ってしまうでしょ。
そうすると定義された以上の範囲には手を伸ばそうとしなくなるのでは、困るんだよね。
そもそも言われたことすらできてないだったら、リーダには選ばれてないよね。
だから、まずは、何をしたら良いのか自分でもっと情報を集めて、自分でいくつもパターンを考えて想像をしてほしい。
リーダー自身が団員に、主体的に考えて行動してほしい。と挨拶で伝えたからこそ、リーダー自ら率先垂範で、主体的に考えて行動するリーダーとして育ってほしい。そんな思いでフィードバックを終えましt。
あと2ヶ月。どんな成長をしてくるかな?
おまけ:リーダーへの参考図書「リーダーシップを鍛える ー ラグビー日本代表の「躍進」の原動力」

目次
第1章 可能性を信じるーーマインドセットから始まるリーダーシップ
日本代表の歴史を変えた2015年の南ア戦/エディーさんとの出会い/成長の土台となるマインドセット/行動や成果を好転させるマインドセット(1新しい経験を拒まない2習得への情熱を持つ3限界を決めない)第2章 「成長するチーム」のリーダーシップ
成長するための6つのポイント(1コミットメントとモチベーション2自信3コミュニケーション力4フィードバックとコメントの受け止め方5集団凝集性とリーダーシップ6個々の心理的スキル)/エディーさんが提案したデュアルリーダーシップ/W杯で1勝しかしたことのないチームが「勝ちの文化」を考えた/選手が徹底的に「君が代」を学ぶ理由/チーム作りの要となった外国人選手とのコミュニケーション/1年目の手ごたえ/2年目の「バディーシステム」/波乱の3年目/選手が掲げた目標ーー主体性/日本代表を生まれ変わらせた「イノベーション」/「この試合は、プライドなんだ」/コラム1コミュニケーションの本質は「聞くこと」第3章 変革型リーダーシップがチームを進化させる
リーダーにカリスマ性はいらない/日本型組織の機能不全/組織を活性化させる変革型リーダーシップ(1理想的な影響力2モチベーションの鼓舞3個々への配慮4思考力への刺激)/誰もが「チェンジ・エージェント」になれる組織こそ最強/従来型リーダーシップの問題点とは?/シェアド・リーダーシップで全体の3割をリーダーに/コラム2「清掃人、郵便配達人に聞いてみる」第4章 成功をもたらすハードワークとレジリエンス
成功に欠かせないハードワーク/ハードワークに必要な3つのマインドセット/マインドセットを前向きにする「レジリエンス」の力/スポーツにおけるレジリエンス/レジリエンスを鍛える10の方法/レジリエンスで困難に挑戦した人たち/コラム3女性の時短制度、本当は誰のため?第5章 フォロワーの可能性を引き出す
部下のやる気が出ないのは、部下のせい?/リーダーのNGワード、NG行動/いまどきコミットメント/なぜ生産性が上がらないのか
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